2021年10月に再開されにあたり収入基準や資産基準が大幅に変更されることが議論されていますが、この「収入基準」や「資産基準」について様々なサイトやブログで誤解があるようです。
そこで今回はあらためてMM2Hの収入基準について解説したいとおもいます。
○月収1万リンギットの計算方法
2021年9月現在、4万リンギットへの変更が検討されていますが、この「1万リンギの月収」はどうやって計算するかご説明します。
①(本日のレート+1円)で計算する。
例えばレートが27円ならば、1万リンギットなら27万円という計算になりますが、ご存知のようにレートは日々動きます。
またこれは予想ですが、MM2Hは世界中から申請を受け付けているので、毎日それぞれの国のレートをチェックしているわけでなく多くても週単位、ひょっとすると月単位でクリアする月収を決めている可能性があります。
そしてどの交換レートを採用しているかも分からないので、安全性を見て最低でも申請時のレート+1円、できれば2円以上で計算して月収を計算すべきです。従ってレートが27円なら、1万リンギットで29万円と考えて申請しましょう。
②月収は控除後の手取りで
この月収は手取りです。社会保険料や税金はもちろん、社内積み立てや自己負担分家賃など、本来なら実質給料と考えることができ、引かれているけど手取りに加算していいと日本人なら判断できる項目も、マレーシア側の役人はできません。
日本のように源泉徴収がある国とない国もありますし、それをいちいち比較して再計算するような手間はかけません。要するに色々な足し引きがあっても結局1万リンギット以上であることが求められます。
従って社内預金や社内持ち株を行っていて、控除額が大きい場合には、収入が1万リンギット分あっても申請が通らないと考えて下さい。
③基準を3カ月以上上回ること
月収には残業代やボーナスが入ってもいいですが、最低でも3カ月は基準の月収を超える必要があり、その支払われたことが分かる「会社が発行する給料明細」とその給料が入金された「申請者名義の銀行口座による証明」が必要になります。
いくら多額の給料をもらっていていても手渡しでは証明ができず、ネットバンクでもいいですが、その入金の明細書を英語で証明する必要があります。
一方、この基準を上回らなければいけないのは3カ月なので、基本給ではギリギリの人でも3カ月間だけ残業を頑張れば審査が通る確率があがります。
④世帯収入として夫婦の収入を合算できる
ビザは単独でなく配偶者を帯同でき、その場合にはそれぞれが基準を満たすのでなく、それぞれの収入を合算して基準を超えていれば大丈夫です。
ただし運用上、主たる申請者が70%以上の収入を占めている必要があるので、夫が主たる申請者と仮定するなら夫は7000リンギット以上の収入が必要です。
夫婦で半分5000リンギットずつではダメのようです。(2021年現在の運用による)
⑤望ましいのは給料による収入
暗号通貨(仮想通貨)で一山当てた人や人気ユーチューバーに来てほしいのではなく、「安定した会社に勤める普通の人」をターゲットにしています。
従って株の配当などの収入のみで生活している投資家は、よっぽどの資産や収入があれば別ですが、普通の給料取得者より審査に通りにくいことは間違いないです。
また暗号資産でいくら稼いでいてもそれを円でもドルでもリンギットでもいいので、申請に必要な分だけは法定通貨に変換しなければなりません。
「じゃあ給料を暗号資産でもらっている場合には?」という疑問も今後は生じますが、まだ当面は法定通貨での証明でなければ受け付けてもらえないと思います。
なお年金による所得も大丈夫ですが、日本政府からの年金のみをカウントし、どんな大きな会社の企業年金であっても、その永続性がマレーシアには分からないので認められる可能性は少ないです。同様に生命保険などの年金も厳しいです。
実はリタイアメントビザといいつつ、日本の平均的な年金生活者は、額も厳しいですし給付も2カ月に1回なので、申請が通る可能性はほぼないのです。
このように収入要件といえども、ただ単にお金があればよいというわけでもありません。
明確な基準を公開しているわけではないですが収入の内容や安定性もビザ発給の審査対象になると考えられます。
収入ひとつとっても申請を通すには実は様々なテクニックをもって証明する必要があるので、詳しい内容を知りたい場合には是非お問合せください。